お盆の御供え野菜に棒を刺したなすや胡瓜の呼び方は?(豆知識)

生活と知識
Pocket

毎年の里帰り、帰省ラッシュでどこの交通機関もごった返す「お盆」。

お盆とみなさんは呼びますが、本来は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいます。

このお盆のお墓参りの際に、お墓の前でよく見かけるのが、野菜の「なす」や「きゅうり」に串を4本差して足にした飾り物らしき野菜

いったいあれはどんな意味があり、なんと呼べばいいのか?探ってみました。

 

Sponsored Link





野菜のお供え物のことを精霊馬(しょうりょううま)と言う

キュウリやナスにつまようじや割り箸を付けた形のお供え物を見かけることが多いですが、この野菜のお供え物のことを精霊馬(しょうりょううま)といいます。

精霊とはご先祖様の霊のことを指しており、その霊を乗せる馬牛を表現しています。

きゅうりは馬を模したもので、なすは牛を模したものです。

この馬と牛は、お盆の時期にあの世とこの世を行き来するための乗り物をであり、なすときゅうりで表現しています。

このお供えのなすときゅうりですが、地方では細かく切った状態でお供えする地域もあり、これ以外の夏野菜をお供えする地域もあります。

 

この移動手段の馬ですが、私の田舎、南九州エリアでは

「馬刺し」としてよく食卓に並びます。

牛、豚、鶏などの肉より、低カロリー、低脂肪、低コレステロール、低飽和脂肪酸、高たんぱく質なお肉。よく桜肉とも呼ばれます。

馬肉は脂肪分の融点が牛肉などと比べて低いため、人間の体温でも溶けます。その為、刺身などで食べた際にはその脂分で甘く感じることができます。

馬刺しが有名で、九州の食べ方はにんにくや生姜を九州の地元のさしみ醤油に溶かして食べるのが一般的。

子供のころ馬刺しを沢山食べようとすると、周りの大人達が「馬刺しばかり食べると体を冷やして風邪ひくぞ」と言われた事を思い出します。

実際に調べても、「馬肉が体を冷やす」とは書いてありません。子供に食べすぎない様にするための迷信だったのでしょう。

お盆にお供えされる精霊馬の由来・意味について

なぜお盆の時期に野菜を使った精霊馬をお供えするようになったのか?

実は、お盆はもともと旧暦の7月7日から7月15日までの1週間が期間でした。
7月7日といえば七夕、現在でも願い事を書いた短冊を笹に結びつけて願い事を書くことで有名な日本の行事ですが、昔は農産物の収穫の時期でもありました。

この時期に獲れた最初の野菜など(初物)をお供えし、収穫への感謝の風習として親しまれてきました。
特に夏野菜の代表格である「きゅうり」と「なす」をお供えすることが多く、お盆の時期と被っていたためとされています。

また、この世に戻って来るご先祖様をお乗せする牛馬を「なす」と「きゅうり」で表現したのが精霊馬なのです。

ようするに、農産物への収穫に対する感謝の念が変化してこのようになったのです。

ちなみに、精霊馬で作られる「きゅうり」の馬と、「なす」の牛にはそれぞれ意味があります。

「きゅうり」の馬は、この世から戻って来る際になるべく早く戻られるようにという願いが込められています。

一方、「なす」の牛は、あの世へと戻る際、なるべくのんびりと戻ってほしいという意味があるようです。

ただし、精霊馬の持つ意味は地域や宗派によってもさまざまのようです。

 

馬や牛に乗る様な事は、車社会の現代では想像もつかないと思う若者が多いでしょう。

数百年前の日本の移動手段は徒歩か、籠(人力)、牛車や馬しかなかったのです。

リニアやドローン、自動運転などの技術が当たり前の時代には、こんな話をしても、イメージできないのが普通になっていそうですね。

 

Sponsored Link





きゅうりやなすの精霊馬お供え後の処分方法(まとめ)

白い紙で包み、塩で清めたうえで捨てるのが一般的の様です。

よく似た物で、お正月のお飾りなども塩で清めてゴミ箱へ捨てますが、お供えに使用したきゅうりやなすの精霊馬も同様です。

お仏壇にお供えしたものなので、時間もたっていて食べるにはちょっと気が引けますし、串を刺していますので、その部分が傷んでいる事も予測されます。

無理にもったいないからと食べるのはあまりお勧めしません。(あくまで自己責任で)

お盆に良く見るけど、あの奇妙な形の野菜はなんて言うの?と子供に聞かれた際には

「精霊馬(しょうりょうま)」って言うんだぞ。馬牛を模しているんだよ。なんて、

少し天狗になれるのではないでしょうか。

 

Sponsored Link





コメント

タイトルとURLをコピーしました